イノベーションってなんや!変わるべきもの、変えるべきではないもの

イノベーションのイメージ

「『変わらなきゃいけない』ってなんやねん」

先日夜遅く、ダンナとおしゃべりをしていた時に、

「『変わらなきゃいけない』ってなんやねん」という話になりました。

ダンナは飲食系のフランチャイズの会社に勤めていて、長年加盟店さんの経営指導などをしている人なので、私より100倍実績があるコンサルタント的なおっさんです。

そのおっさんはけっこうおしゃべりで、自慢話も多くてわりと面倒くさいのですが、まあまあ良さげなことを言うときがあるので備忘録として記録しておこうかなと思います。でも深夜の戯言といえばその程度。

誰も彼もにイノベーションが必要なのか

発端は、「某有名コンサルティング会社のセミナー講師は、難しげな理屈を話すからみんなありがたそうに聞いているけれど、そんな難しい話はしていない。あんなん経営者やってたらみんな自分の感覚で考えてるようなことばっかりで、それを小難しいカタカナを使って煙に巻いているだけや」的な批判からでした。

「簡単に『イノベーションを起こしましょう!』とか言うけど、イノベーションってなんやねん、革新とか改革でええやん。何でカタカナやねん。昔からある日本語で通じる。でも今、誰も彼もが分かったような分からないような『イノベーションを起こすことが解決策』のように言っていて、現場の経営者はどうしていいのかわからなくなってる」と。

イノベーション – Wikipedia
イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。

「イノベーション」つまり変革、がキーワードのようになっているけれど、定義が広すぎる。方法はわからない。政府は「補助金出すからとにかくおまえら革新しろ」と丸投げしてくるし、「変わらなければ」という風潮ができてしまって企業はみんな追い立てられて、気持ちばかりが焦っている。

挙句の果てには新しい切り口とミスマッチを取り違えて、知見のない分野に飛びついたりおかしな方向へ走ったりして失敗しているケースもあるように思う。

だけど、今まで積み上げてきたものを全て変える必要があるのか?みんながみんな、とにかく変えなければいけないのか?変わらなければいけないのか?

もちろん古いやり方が通用しなくなるときはある。他の業種と手を組んでなにか新しいことを始めることも必要なことがあるかもしれないけれど、それは今までやってきたことを否定するものではない。今まで積み上げてきたものを否定して違うものにするのではない。過去の業績は、それはそれで大切にするべきものだ。

柱を揺るがしてはいけない

会社を発展させようとして何かを変えてしまったことが原因で柱が揺らぐことがある。

バブルのころ、儲かるからと安易に本業以外にあれこれ手を出した所は大火傷を負ったところも多い。大企業でもいろいろなことに手を出していたが、結局ほとんど撤退させて本業に戻っていたりする。

新しくしてはいけないとか、変えてはいけないというのではなく、自社の柱を揺るがせてしまうのがいけないのだと思う。色々多方面に手を出している会社でも、「ウチの会社はこれだ」という確固たるものを持っているところは業績を伸ばしていると思う。

今、イノベーションが上手くいっているところは、たまたま上手くいったのではなくて、潮目が変わる前から常に次のことを考えていたはずだ。それが上手く回っているだけ。事業が順調なときから、環境が変わっても落ちてしまわないような工夫をしているはずだし、次の手を考えている。だから柱を揺るがすことなく新しい事業を成功させたり、古い事業が落ち込んだ時に新しい事業にシフトすることができている。

今落ち込んでいるのを時代のせいにすることは簡単だけど、そうじゃないことに気付かないといけない。落ち込んでいるのは常に次に打つ手を考えていなかったツケがきているだけだ。それを理解せずに「イノベーション」に飛びついても本当のイノベーションになるわけがない。

柱=事業領域(ドメイン)?

彼が肌で感じていることを、彼の嫌いなコンサル風のマーケティング用語で言うと、「ドメイン(事業領域)を揺るがすな」ということなんじゃないかなと思います。
(インターネットのURLで使うドメインとは違いますよー)

企業ドメインとは

企業ドメインとは、「企業の活動の範囲や領域のこと」であり、企業の生存領域を示すものです。自らのドメインをどう定義するかは、その企業の発展の在り方を決定づけることになります。
ドメインという言葉は、企業(全社)レベルの「企業ドメイン」、事業レベルの「事業ドメイン」、また戦略を強く表明する「戦略ドメイン」など、さまざまなレベルで使われています。

マーケティング用語集 企業ドメイン – J-marketing.net produced by JMR生活総合研究所

企業を考える時に、もっとも大切な大黒柱となると言われるのがこの「ドメイン」。自社をどのような会社であると定義するか、ということで、企業はこのドメインを中心にして運営していくべきだとされています。

イノベーションも大切かも知れないけれど、まずはこの「ドメイン」を大切にするべきだということなんだろうなと思います。

反面、ドメインは時代や環境に合わせて再定義するべきだとも言われています。例えば、もともとコンピューターを扱う会社だったIBMは、ドメインを「顧客の経営を支援するソリューション事業」と変更した後コンピューター事業を売却し、コンサルティングやソフトウェアを中心に扱う会社となっています。

それが彼の言う、「事業が順調なときから、環境が変わっても落ちてしまわないような工夫をしているはずだし、次の手を考えている。だから柱を揺るがすことなく新しい事業を成功させたり、古い事業が落ち込んだ時に新しい事業にシフトすることができている。」ということなのかな、と思ったりしています。

それらしいキャッチコピーに踊らされる必要はない

ダンナが言うには、「多くの経営者がマスコミやら賢そうなことを言う奴らのキャッチコピーに踊らされすぎている」らしいです。

そのキャッチコピーとは、先程から出ている「イノベーションを起こせ」だったり、「AIに仕事を奪われる」だったり、なんとなく分かるようで、実際にはその実体が見えないようなもの。

そんなものに怯えて焦るのではなく、地道に事業を安定させる方法を考える方が大切で、調子が悪いときでも一定の業績を上げるにはどうすればいいかを常に考え、その中で今までと違う方法を思いついたら、それこそがイノベーションなんじゃないか、とのこと。

私自身も「イノベーションってなんだろう」と、言葉の意味は知っているのになんとなく腹落ちしないところがありましたが、この話の中で気が付きました。

イノベーション、って範囲が広すぎて、何も具体的に指してはいないということ。

そんなふんわりとした大まかな定義に踊らされることなく、着実な成果をお届け出来るコンサルタントでありたいなと思います。