SEOかSNSか、あなたのサイトで重要なのはどっち?

インスタグラム

『探して来てもらう』か、『紹介されて来てもらう』か

先日参加したカンデジ主催の勉強会で講師をしてくださった株式会社 創 の村上肇さんのお話の中に、大変印象に残った言葉がありました。

「ホームページに来てもらう方法は2種類しかありません。『探して来てもらう』か、『紹介されて来てもらう』かのどちらかです。」

普段から仕事でウェブサイトに関わっていると、専門的に「流入経路」というような表現を使って考えたりしますが、「わかりやすい言葉で伝えること」をコンセプトにしている私としては、とてもいい表現でステキだなと思いました。

お分かりの方も多いでしょうが、「探して来てもらう」のは検索からのアクセス、「紹介して来てもらう」のがSNSからのアクセスということです。

「ウチの会社、製品、サービス」のタイプはどっちなのかわからない

ところが、セミナーの最後の質疑応答の際には複数の企業の方から、「ウチのホームページは探してもらう方ですか?紹介してもらう方ですか?」という質問が相次いで出ていました。

つまり、その方は『探して来てもらう』タイプと『紹介されて来てもらう』タイプの違いがよく分からない、もしくは自社やその製品・サービスがどっちのタイプに属するのかを正しく把握できていないかのいずれかです。

残念なことに、その点について掘り下げて説明していただくには、セミナーの時間はあまりにも限られたものでしたので、僭越ながら、(その時に参加されていた企業さんが見てくださるかどうかは分かりませんが)どんなタイプが『探して来てもらう』企業で、どんなタイプが『紹介して来てもらう』企業なのかを判断していただけるように、ここで勝手に詳しく説明してみたいと思います。

ユーザーがホームページに来るまでの経路

まず最初に、ユーザー、つまりお客様予備軍が自社のホームページを訪れる2種類の方法について説明したいと思います。

ユーザーのニーズがはっきりしている場合

まず1つめは、「○○が欲しい、○○に関するサービスが使いたい」というように、お客様のニーズがはっきりしている場合です。この場合は検索して『探して来てもらう』方法になります。

単純な例を挙げれば次のような感じではないでしょうか。

腰痛

  • STEP.1
    問題認識
    ちょっと最近腰が痛いんだよね。仕事中に座る時にサポートするようなものはないのかな
  • STEP.2
    候補想起
    厚みがある座布団がいいのかな?クッション性がいいもの?低反発?高反発? 保護ベルトという手もあるかな(など候補を思い浮かべる)
  • STEP.3
    検索
    「腰痛対策」「腰痛 サポート」「腰痛 クッション」「腰痛防止 座布団」などで検索する
  • STEP.4
    アクセス
    検索結果、または検索時に出てきた検索連動広告(つまり検索結果の上の方にある広告)の中から良さそうだと思ったホームページにアクセスする

この場合は、座布団にするのか、保護ベルトにするのかは決まっていませんが、「座り仕事中の腰痛を緩和する何かが必要」というはっきりとしたニーズを認識しています。

他にも、「○○駅付近のラーメン店」「トイレの修理が出来る工務店」「ホームページについて相談が出来るコンサルタント」「税理士」などは、概ね商品やサービスの内容が既知であり、曖昧であれ明確であれ、ユーザーは何らかのニーズを認識しています。

ユーザーが特に何のニーズも認識していない場合

2つめは、ユーザーが特に何のニーズも認識していない場合です。特にニーズがないので何も探していません。しかし、SNSで偶然その商品を見つけて興味を喚起される、つまり『紹介されて来る』という方法です。

スマホを見るイメージ

  • STEP.1
    ぼんやりSNS
    何かいい情報ないかな、面白いこと言ってないかな
  • STEP.2
    発見
    なにこれ!面白い!かっこいい!カワイイ!すごい!
  • STEP.3
    欲求喚起
    これ、どこで売ってるのかな、買えるのかな、欲しい!
  • STEP.4
    アクセス
    SNS広告やページシェアならリンクをクリック。(ユーザー撮影写真等の投稿なら商品名を検索)

この場合は、もともとは何のニーズもない状態から始まります。この経路を狙いたい場合は、SNSで紹介されたのを見て、欲求や好奇心を掻き立てられてしまうような状態を創り出すことが必要です。

セミナーでご紹介されていた366日の花個紋という商品はTwitterで火が付いたものだそうです。

花小紋

「紋」ウィキペディアより

紋章 – 個人・家系や国家・地方自治体、学校、公的機関、組合・ギルド、軍隊の部隊などの組織及び団体などを識別し、特定する意匠又は図案
家紋 – 特に日本において古くより出自といった自らの家系、血統、家柄・地位を表すために用いられてきた紋章

花個紋は、お遊び用の家紋、というか自分用のカワイイ花柄の紋です。必需品かと言われれば、全く必需品ではありません。しかも、「花個紋」という名前は、このデザインを生み出したデザイン会社さんの完全オリジナルだそう。

つまり「もともとは誰も知らない商品」なので、初めから「花個紋グッズが欲しい」「花個紋が必要だ」というニーズが発生することはありませんし、「花個紋」で検索されることもありません。しかしこれがツイッター広告でユーザーの目に留まり、非常に多くのシェアを獲得して大変な人気となったとのことでした。

ウチは『探して来てもらう』サイト?『紹介されて来てもらう』サイト?

それでは、どのような会社のサイトが「探してきてもらう」ホームページで、どのような会社のサイトが「紹介して来てもらう」サイトなのかをもうすこし具体的に掘り下げていきたいと思います。

お気づきだとは思いますが、これらは白か黒かのようにきれいに分かれるわけではありません。どちらも大切にする必要があり、相乗効果を生み出すものではあります。けれど、リソースの少ない中でどちらに力を入れるべきか、という判断の材料にはなるのではないかと思いますので、あえて大まかにタイプ分けしてみたいと思います。

探してきてもらうサイトのタイプ

当日、パネラーで出られていた黄山金属プレス工業所の黄山さんの、「ウチの会社の場合はどちらのタイプなのでしょうか」という質問への村上さんの答えは、『探して来てもらう』タイプだとのことでした。

黄山金属プレス工業所のサイト

なぜなら、金属プレスの会社のホームページを訪れるということは、何らかの金属加工をしたいというニーズがあるということだからです。

特にBtoBの商品やサービスを提供する会社の場合、「思いついて衝動的に購入」されることはあまり考えられません。むしろ、自分たちのニーズにぴったり合うのかどうかを念入りに確かめ、取引先候補として相応しいかどうかを検討されるはずです。

ですからそのような会社のサイトは、顧客予備軍であるユーザーのニーズを先読みしたキーワードでのSEO対策と、そのユーザーを満足させるだけの手厚い情報を用意する必要があると言えます。

他にも商品やサービスの内容が一般的に知られた内容であり、「それが欲しい(必要だ)」というニーズの生まれるものに関しては『探してきてもらう』タイプに当てはまりやすいため、検索結果に出やすくするための対策であるSEO、つまり自社サイト内のコンテンツをしっかり増やしていくことがより重要だと考えたほうがよいでしょう。

紹介して来てもらうサイトのタイプ

一方、『紹介して来てもらう』サイトの商品、サービスは「衝動的に欲しいと思わせる」もしくは「何度も目にしているうちにファンになり、どんどん欲しい気持ちが高まってくる」といったタイプのものです。

必需品ではなく、嗜好品や趣味の品がこちらに分類されやすいでしょう。新しいアイデアや他にはない明確な特徴があったりするものなどは、「こんな素敵なものがあるよ!知ってる?」とSNSで紹介してもらって知名度を上げなければ、そもそも検索してもらうこともできません。

しかしSNSと言っても主要なものでもいくつかあり、どれを使ったらいいのかがわからないというお話も聞きますので、独断と偏見ではありますが、それについてもすこし解説してみたいと思います。

インスタ映え、フェイスブック映え、ツイッター映え

一時期、ネタとして「インスタ映え、フェイスブック映え、ツイッター映え」が大喜利のように流行しました。その中で、分かりやすく区別がつけられているなと思ったのが下の投稿です。

インスタグラムの特徴と、向いている商品、サービス

インスタグラムで人気が出るのは、とにかく美しく、ちょっと非日常感がある、スタイリッシュでフォトジェニックでオシャレな世界観のあるもの。しかも写真ですべてを伝えなくてはいけません。

文字も入力できますが、あまり読まれることはなく、検索のためのハッシュタグ(#)だけがずらずらと並べられていることが多いようです。インスタグラムの中ではすべて写真で判断されると考えましょう。そして日本国内に限ればユーザーの多くは若い女性だということも意識しましょう。

インスタグラムは同じインスタグラム内でシェアをするという機能は特になく、いいねがたくさんついているかどうかが全てです。(※シェアをする機能が付いたツールを使って無理やりシェアをしている場合もありますが、基本的に一般ユーザーがシェアをすることはないと考えるべきだと思います)

自分の好きなブランドやテイストをハッシュタグで検索し、見つけた写真が気に入ればいいねしたりフォローしたりします。洋服やアクセサリー、飲食店、キッチン雑貨や手芸用品、インテリア雑貨、リフォームや新築など住宅関連、美容院、ネイルサロンなど、写真の美しさで判断できる商材が向いています。

インスタグラムでは、衝動的に欲しくなって購入することもあれば、そのユーザー企業の描き出す「オシャレで素敵な日常生活」の世界観を好んでフォロワーとなり、その企業のファンとなり、ヘビーユーザーになるというケースも多いようです。

海外セレクトのアパレルショップ babysbreath_miza

Facebookの特徴と、向いている商品、サービス

フェイスブックは実名であり、つながっている人も基本的にはリアルな知り合いである場合が多いためか、友人に対して自分の仕事や生活を少し紹介、というような投稿が多くなります。そのため私生活を投稿していても少しオフィシャル感が漂います。いいねが多く付くのもインスタグラムのようにありえないレベルの素敵さではなく、生活の中の「プチ充実」に好感が持たれます。社会人としての人格が好感を持つような投稿に「いいね」が付きやすい傾向です。

ゆるいコミュニケーションをとる中で信頼感を構築し、口コミで仕事を広げていくといったような使われ方をしていることが多いようですが、商品やサービスを直接宣伝するという場合は、「誠実さ、真面目さ」が感じられるようなもの、ステイタスを満足させるようなものが好まれます。

虎竹専門店 竹虎

Twitterの特徴と、向いている商品、サービス

ツイッターで「ウケる」のはまずインパクトが強いもので、ネタ要素が強く笑えるものでしょう。

しかし、みんながみんな強烈なインパクトを好むというわけではなく、「優しい世界」(悪意や憎悪、苦しみ、悲しみがないの意)も好まれ、「いい話」や「ほんわかしたもの」も人気を集めます。猫をはじめとする動物の人気が高いのは皆様もご存じでしょう。

ツイッターの中では、ビジネスの話や社会や政治のあり方がどうだこうだと熱く語られる一方で、テレビ番組や芸能人やスポーツが語られ、アニメやゲームが語られ、クリエーターの作品の画像が流れ、育児についても語られ、恋愛についても語られ、かわいい猫の動画にいいねが集まり、その一方で「わー傘忘れた!」「おなかすいた」というような完全な独り言も流れ…というようなつかみどころのない世界です。

フォローしている人によってその人のタイムラインは大きく様相が変わるので、自社のターゲットとなり得る人にどのような印象をあたえたいのかを明確にしたうえで、その人たちにリーチする投稿を行う必要があります。

ツイッターで紹介されてヒットした商品は数知れずありますが、私の中で最も印象が強い商品がこちら。相模屋おとうふショップさんのザク豆腐。2012年に販売された商品です。(画像は相模屋さんよりお借りしました。問題があれば削除いたします。)

ザク豆腐

ツイッターのリツイートで、この商品をジオラマ風に盛り付けた写真がオタクな友人から回ってきたのを見たときのインパクトと言ったら!(しかも中身は枝豆豆腐でちょっと緑っぽいんですよね)今でこそインスタ映えという言葉がありますが、当時、見事なまでのツイッター映えなビジュアルが印象的で、スーパーで探して購入してしまったことを覚えています。

ザク豆腐の画像検索結果

ザク豆腐の画像検索結果

この商品も、ツイッターで回って来なければ、そもそも私が存在を知ることはなかったでしょうし、一般的に出回っている「お豆腐」のニーズで検索することも当然なかったでしょう。

前述の「花個紋」が、かわいらしいものが好きな人たちの目に留まり、その人たちの間でシェアされたように、ザク豆腐はガンダムに食いついてしまうちょっとオタクな人の心をワシ掴みにして多くのシェアを獲得したのだと思います。

ツイッターは通常の利用の中であれば完全に匿名が可能で、複数アカウントを持つこともでき、全くリアルとはつながっていない人も多いSNSです。他のSNSに比べてターゲットの選択肢も広い反面、シビアなユーザーが多いため、しっかりとターゲットが絞られた、他にはないアプローチでなければ全く相手にしてもらえないという厳しい面があります。

「とにかくぜんぶやってみる」はやめましょう

営利目的の企業ホームページを運営している以上、何としてもアクセスを増やしたいと思い、とにかくいいと言われているからブログ、ツイッターがいいらしい、フェイスブックがいいらしいと、何でもかんでもやってみよう、となりがちです。

しかし、施策にも向き不向きがあります。中小企業の限られたリソースの中で、すべてを行うのは絶対に無理!何に注力すべきかをよく考えて、効率よく効果のある運営を行っていきましょう!

2018/05/07 「366日の花個紋」を「366日の花小紋」と誤って表記していた部分を修正いたしました。関係者の皆様には大変失礼いたしました。申し訳ありません。